先端医療技術


◆◆◆ 末期肝がん 手術成功・・・平成18年8月12日付け産経新聞
◆高難度、門脈内も切除
 神戸大学は11日、同大学医学部付属病院で、末期の肝臓がん患者から、肝臓と肝臓につながる血管「門脈」内のがん細胞の大部分を切除する世界的にも例のない高難度の手術に成功したと発表した。さらに、残存腫瘍部に抗がん剤を集中投与する「経皮的肝潅流」と呼ばれる独自の化学療法によって、患者は現在、日常生活が送れるまでに回復したという。
 患者は米国人男性(52)で6月下旬に肝臓がんと診断された。肝臓に最大15aの腫瘍があり、門脈にまで広がっていたため、米国では治療不可能と判断された。
 先月4日に緊急手術を実施。約十五時間で肝臓全体の約80l(1380c)と門脈内部のがん細胞を摘出、合併症もなく術後10日目の15日に一旦退院し、27日に再入院した。
 今後、余分な抗がん剤をバイパス途中のフィルターで除去する独自の化学療法を2度にわたって実施する。順調なら9月中に帰国できるという。
 執刀した肝臓・移植外科チームの具英成教授は「子宮ガンや卵巣がんにもこの治療法を応用しているが、治療をあきらめた人の最後の砦となる」と話している。

◆◆◆皮膚から万能幹細胞・・・平成18年8月11日付け産経新聞
◆再生医療研究大きく前進へ
 マウスの皮膚細胞に遺伝子操作をし、あらゆる細胞に分化する能力がある胚性幹細胞(ES細胞)と同等の万能性を持たせることに、京都大学再生医学研究所の山中伸弥教授らのチームが成功した。ヒトの体細胞を同様に万能化できれば、卵子や胚を使わずに移植用細胞が得られる。ES細胞では避けて通れない倫理的問題を回避できることから、再生医療の実現に向けた研究を大きく前進させる可能性がある。10日付の米科学雑誌「セル」(電子版)に論文が掲載された。
 ES細胞には、筋肉や臓器といった組織の細胞になる分化多能性と、長期間増殖する増殖能がある。細胞の核を移植する技術と組み合わせてヒトクローンES細胞ができれば、将来の再生医療の切り札となるが、生命の萌芽である胚や卵子を壊すため、倫理的観点から根強い反対がある。
 山中教授らは、マウスのES細胞で特に重要な働きを持つとされる24種の遺伝子を調べ、このうち4つの遺伝子が分化多能性と増殖能をもたらしていることを確認。この遺伝子を、ウイルスを使って大人のマウスの皮膚や胎児の細胞から培養した繊維芽細胞に組み込むと、できあがった細胞がES細胞と同様の増殖能と、分化多能性を備えることが判明。研究チームは、この細胞を「誘導多能性幹細胞」と命名。患者自身の皮膚から誘導した多能性幹細胞を使うため、移植後の拒絶反応も克服できると期待される。
 山中教授は「4つの遺伝子は、人でも同じとは限らないが共通しているものもある。ヒトES細胞から万能性遺伝子を特定し、臨床応用に向けた研究を進めたい」と話している。

◆◆◆長寿の秘密はミトコンドリア?・・・平成18年8月11日付け産経新聞
◆DNAの差 100歳以上の8割占める型判明
 個人差が大きいミトコンドリアDNA(mtDNA)のうち、細胞の働きに影響を与えている型を理化学研究所などのグループが突き止め、11日付の米科学誌に発表した。この型は日本人に多く、「長寿国日本」の秘密解明につながる可能性もあるという。
 ミトコンドリアは細胞内の小器官で、エネルギー生産や、細胞の生死や変化に影響をもたらすカルシウムイオン濃度の調整などをつかさどる。核のDNAとは別にmtDNAを持ち、母親だけから受け継ぐのが特徴。mtDNAは変異を起こしやすいため個人差が大きく、寿命やさまざまな疾患との関連が指摘されている。
 理研の精神疾患動態研究チームリーダーの加藤忠史さんらは、被験者の血小板からmtDNAを取り出し、約1万6千ある塩基配列を解読。取り出したmtDNAをカルシウム濃度の変化を測定できる特殊な細胞に埋め込んで個人差を調べたところ、このうち2つの塩基配列が、カルシウム濃度を低く抑えるG型と高くするA型に分かれていることが分かった。
 これまでの研究で、G型は日本人に多く、特に100歳以上の長寿者では8割を占めていることが分かっている。カルシウム濃度と寿命との関係は不明だが、加藤さんは「カルシウム濃度の変化は細胞死のシグナルになっており、そのあたりが長寿と関係するかもしれない」と話している。

◆◆◆記憶に必須タンパク質を解明・・・平成18年6月27日付け産経新聞
◆京大教授
 脳の神経細胞の活動や記憶学習機能に「ジャンクトリフィン」というタンパク質が重要な働きをしていることを、京都大大学院薬学研究科の竹島浩教授(生化学)らの研究グループが突き止め、「米科学アカデミー紀要」電子版に27日、発表した。記憶などに障害が起きる神経疾患の治療薬開発につながる研究成果という。
 脳の神経細胞が働いて興奮が高まったあとに、安息状態になることが知られているが、これまでそのメカニズムは解明されていなかった。竹島教授らは、記憶をつかさどる脳の海馬と呼ばれる部分の神経細胞を調べた。
その結果、神経細胞の中の情報を伝達する物質の通り道が興奮を抑制する働きをし、ジャンクトフィリンが通り道に必須のタンパク質となっていた。
 一方、ジャンクトフィリンを欠乏させたマウスの海馬の神経細胞を調べると、興奮が高まった後に安息状態は見られず、それらのマウスには短期、長期の記憶や学習機能に障害があることがわかった。

◆◆◆大腸がん悪化の司令塔・・・平成18年6月17日付け産経新聞
◆細胞内タンパク質を特定
 大腸がんを悪化させるのに、細胞内にある「CRD-BP」と呼ばれるタンパク質が司令塔的な役割を果たしていることを、金沢大がん研究所の源利成教授(分子腫瘍学)らが共同研究で突き止め、英科学誌「ネイチャー」に発表した。
 源教授らは、大腸がん患者のCRD-BPが増加していることに着目。保存している患者のがん組織を使い、遺伝子操作でCRD-BPを減らす処理をして観察したところ、がん細胞の死滅率が2、3倍となり、増殖率も約3分の1に減ることが確認できた。
 こうしたことから、CRD-BPは、β-カテニンなどがん化促進に関連する3種類のタンパク質の働きを強調させ、がんを悪性化させる役目を果たしていることがわかったという。
 β-カテニンなどはがん化を促す働きがあることはこれまでも知られていたが、橋渡し役をCRD-BPに特定したのは初めて。
 源教授は「がん化を促進する経路は複雑で大腸がん以外での検証も必要だが、今回の発見は、新たながんの診断や治療法につながる期待がある」と話している。

◆◆◆抗利尿作用ホルモン「バゾプレッシン」・・・平成18年5月9日付け産経新聞
◆血圧調整の働き
 尿の排泄を抑える抗利尿作用で知られるホルモン「バゾプレッシン」に血圧を正常に維持する働きがあることを、京都大大学院薬学研究科の辻本豪三(ゲノム創薬科学)と輿水崇鏡講師らの研究グループが解明し9日、米科学アカデミー紀要電子版に発表した。バゾプレッシンを使った心不全などの治療薬開発が進んでいるが、同グループは「より効果的で副作用の少ない薬の開発が期待できる」としている。
 バゾプレッシンは脳下垂体から血中に分泌される。辻本教授らはこのホルモンの受容体の一つ「V1a」を欠損させたマウスを使って血圧調整との関連を研究した。
 欠損マウスでは、ホルモンの働きが失われた状態になっており、血圧が低下するとともに、体を循環している血液の量が減少した。
 さらに薬で人為的に血圧を上下させたときの心拍数を調べると、正常マウスでは血圧が下がるのに伴い心拍数が上がって血圧を調節したが、欠損マウスでは心拍数にあまり変化がなかった。
 このことから、バゾプレッシンには、減少した循環血液量を補う心拍調整機能があり、欠損マウスで血圧が低下した原因は、この機能に障害が発生したためと判明したという。

◆◆◆脂肪とりすぎ抑える物質発見・・・平成18年4月26日付け産経新聞
◆肥満治療薬に期待
脂肪分が多い食事をとり続けた際、服用すると食欲が落ちる合成化合物をマウスの実験で発見したと、万有製薬と米メルク社の共同研究チームが25日、米科学アカデミー紀要の電子版に発表した。この物質は通常の食生活では効かないため、過剰なダイエットに使われる心配がないという。研究チームは肥満治療薬の開発を目指す。
 飢餓状態に陥ったときなど、食欲を高める必要がある状況では、脳の視床下部で「神経ペプチドY」と呼ばれる神経伝達物質が増える。神経細胞でこの物質を受け取る受容体(窓口役タンパク質)には5種類あり、このうち「Y5R」の働きを強める物質をマウスに与えると食欲が高まり、肥満になることが知られていた。
 万有製薬つくば研究所の石原あかね研究員らは、シクロヘキサンなどで構成される特定の脂溶性合成化合物がY5Rの働きを抑える可能性があると見てマウスで実験。
 コーン油などを含む高脂肪の餌をマウスに二週間与えると摂取カロリーが35%増えるが、この化合物を平行して一日一回、体重1キロあたり換算で30ミリグラム経口投与すると食欲が抑制されて増え方が27.4%に100ミリグラムでは25%にとどまった。

◆◆◆臓器移植後の拒絶反応抑制・・・平成18年4月13日付け産経新聞
◆「T細胞」使い新療法
 臓器移植後の課題である拒絶反応を抑えるため、自己免疫疾患の発症を防ぐ働きがある細胞の一種「制御性T細胞」を使った新療法を、京都大の小柴貴明助教授(移植免疫学)らの研究グループが開発し、12日発表した。平成20年度にもヒトへの臨床試験を行う方針。臓器移植では拒絶反応を抑える免疫抑制剤の強い副作用などがリスクとなっているが、小柴助教授は「(新療法で)拒絶を抑えるのが難しい小腸・肺移植の普及や、抑制剤の弊害をなくすことができる。」としている。
 小柴助教授らは、これまで同大で行われた約1000例の臓器移植後に、免疫抑制剤を使わなくても拒絶が起きない「免疫寛容」と呼ばれるまれなケースが約50例あったことに着目。こうした患者の体内では、免疫を抑制する「制御性T細胞」が増加し、重要な働きをしていることを突き止めた。
 マウス実験では、患者から採取したT細胞をドナー(臓器提供者)の血球と培養。その結果、ドナーの抗原に対して免疫を抑えるよう働く特別なT細胞を増やし、再び患者の体内に戻すと免疫寛容の状態になったという。
 今後は動物実験などで、特に拒絶が激しい肺移植や肝臓、膵島移植での安全性や有効性を確かめ、ヒトへの臨床試験につなげる考え。小柴助教授は「免疫寛容を誘導する世界初の薬剤開発にもつながる成果」としている。

◆◆◆細胞シートで心筋再生・・・平成18年4月3日付け産経新聞
◆動物実験成功
 重度の心不全などで弱った心臓に、皮下脂肪や骨髄から作った細胞シートを貼り付け、新たに心臓の筋肉(心筋)や血管を作り出すという新しい治療方法の動物実験に国立循環器病センター(大阪府吹田市)の研究チームが成功、米医学誌「ネイチャー・メディシン」(電子版)に三日、発表した。
 同センターの再生医療部と心臓生理部が開発。貼ったシートは厚さが30倍になり、心筋のような組織と血管網ができた。これまでの再生医療では実現できなかった成果で、比較的簡単で有効な治療法になる可能性があり早期の臨床応用を目指すとしている。
 実験では、ねずみの皮下脂肪や骨髄から「間葉系幹細胞」と呼ばれる心筋や血管に成長する機能を持つ特殊な細胞を分離。この細胞を約三日かけて、厚さ20ミクロン程度の「間葉系幹細胞シート」と呼ばれる細胞のシートに培養、手術で心臓に貼り付けると、心筋や血管を含む厚さ600ミクロン程度の組織に成長し、心機能の改善が見られた。
 今後、心筋梗塞などで弱った人間の心臓への応用が期待されるという。
 再生医療部の永谷憲歳部長は「大型の動物で実験を行い、安全性が確立されれば人間にも臨床試験を行いたい」と話している。

◆◆◆内臓脂肪過食ストップ・・・平成18年3月8日付け産経新聞
◆信号出し食欲抑制
 内臓脂肪が、食欲を抑えるホルモンを働かせるよう神経を通じて脳に信号を出していることを東北大大学院医学系研究科の片桐秀樹教授(内分泌代謝学)らのグループが突き止め、八日、米医学誌セル・メタボリズムオンライン版に発表した。
 食欲抑制ホルモン「レプチン」は脂肪細胞から分泌され、脳の満腹中枢を刺激する。肥満の人はうまくレプチンが働かず食欲のブレーキが利きにくいが、今回の研究で内臓脂肪の信号を出す機能の低下が一因とみられることが判明。信号を活性化する物質を解明できれば"やせ薬"につながる可能性がある。
 片桐教授は「単にエネルギー貯蔵庫と考えられていた脂肪細胞が、ホルモン分泌に加え新たに脳に指示を出すことも分かった。肥満に高血圧や高血糖、高脂血症を伴うメタボリック症候群の抑止に向けた研究にも役立つ」と話している。

◆◆◆花粉症起こすヒスタミンに目覚まし効果・・・平成18年3月8日付け産経新聞
◆居眠り防止の薬開発期待
 花粉症などアレルギー症状を起こす体内のアミノ酸の一種、ヒスタミンに、目覚ましの役割があることを大阪バイオサイエンス研究所第二研究部の裏出良博部長、黄志力副部長らのグループがマウスを使った実験ではじめて明らかにした。神経細胞の表面にヒスタミンを認識する特定の受容体がないと眠りつづけることなどを証明したもので、居眠り防止の医薬品の開発などが期待できそう。六日付けの米国科学アカデミー紀要に掲載された。
 ヒスタミンは、花粉などアレルギーの原因物質が体内に入ると鼻の粘膜にある肥満細胞などから放出され、特定の受容体(H1受容体)に結合すると鼻水などの症状が出る。このため、アレルギーの治療薬としてヒスタミンが結合する前に受容体をふさぐ抗ヒスタミン薬が処方される。しかし、この薬の投与後に催眠状態になることから、裏出部長らは逆にヒスタミン受容体に覚醒作用があると発想した。
 遺伝的にヒスタミンH1受容体が作られないマウスを使って調べたところ、このマウスは一旦眠るとなかなか起きなかった。さらに、脳内でヒスタミンを盛んに放出させると、正常なマウスが目覚めている時間は延びたが、受容体がないマウスの生活に変化はなかった。こうしたことから、脳内のヒスタミン量が調節できれば、居眠り防止や睡眠導入の効果を発揮する医薬品などの開発に結びつくことになる。

◆◆◆放線菌の生成物質、骨粗しょう症に効果・・・平成18年3月7日付け産経新聞
◆理研など発見
 群馬県内の土壌から採取された抗生物質「リベロマイシンA」に、骨粗しょう症の治療効果があることが、理化学研究所と中部大学、米ノースウェスタン大などの共同研究で分かった。国内患者数が一千万人以上とされる骨粗しょう症の治療薬として臨床応用が期待される。成果は米国科学アカデミー紀要電子版に掲載される。
 骨粗しょう症は骨を作る「骨芽細胞」と骨を壊す「破骨細胞」のバランスが崩れ、破骨細胞の働きが過剰になって骨がもろくなる病気。研究チームは、骨粗しょう症になりやすいマウスにリベロマイシンAを投与すると、与えない場合に比べて骨の破壊が約60%抑制されることを確認。そのメカニズムを分子レベルで突き止めた。
 放線菌という微生物がつくるリベロマイシンAは、骨を壊すときに酸性になる破骨細胞だけを狙い撃ちし、アポトーシス(自発的な細胞死)に追い込んでいた。マウス実験では、過剰に投与しても体内に蓄積されず、副作用は見つかっていないという。

◆◆◆異常因子を分解・抑制・・・平成18年3月1日付け産経新聞
◆特定の「小分子RNA」発見
 小型淡水魚の初期胚に含まれる特定の「小分子RNA」(マイクロリボ核酸)に、脳や臓器の一部が形成されない発生異常の原因にもなる不要なmRNA(メッセンジャーリボ核酸)を分解、抑制する働きがあることが二十八日、分かった。こうした機能の解明が進めば、ガンなど人の病気の治療法開発の手がかりになると期待される。神戸大や米ニューヨーク大などの研究チームが発表、米科学誌「サイエンス」電子版に掲載された。
 研究チームは、小型淡水魚のゼブラフィッシュの初期胚に豊富に含まれる「miR-430」と呼ばれる小分子RNAに注目。
 約百六十種類のmRNAに働きかけることを突き止め、具体的には、受精卵自身のゲノムが機能し始めると不要になる母親由来のmRNAを取り除いたり、抑制したりする働きがあることが分かった。
 さらに、この小分子RNAが生成していない変異胚では脳が形成されないなどの異常や疾患が見られ、もともと小分子RNAを持たない変異胚に微量に「miR-430」を注入した場合に異常が回復することが判明。この小分子RNAが正常な発生を保証する反面、変異胚では不要なmRNAの働きを抑えることができずに異常が引き起こされたと結論付けた。
 神戸大理学部の井上邦夫助教授(発生生物学)は「設計図の通りに正しくタンパク質が合成されないなどで生命反応のバランスが崩れて病気になる。小分子RNAの働きは遺伝子により引き起こされる病気の治療法開発につながる」と話している。

◆◆◆アルツハイマー病ワクチン開発成功・・・平成18年2月25日付け産経新聞
◆林原生物化学研究所
 アルツハイマー病の原因タンパク質を、抗体反応を応用して効率的に破壊するワクチンの開発に、林原生物化学研究所(岡山)が成功し、二十四日、発表した。副作用の可能性も低いという。動物実験を重ね、十年後の実用化を目指す。
 実験では、アルツハイマー病の原因とされる「Aβペプチド」というタンパク質の一部をワクチンに組み込んだ。その結果、病原体を攻撃する「B細胞」が、病原体の弱点をピンポイントで狙撃する抗体を作り出し、より効率的に働くようになった。
 さらに、予防接種にも使われるBCGや、破傷風のワクチンも併せて使うと、B細胞に攻撃指令を出す「T細胞」を活性化させ、抗体の生産能力を高めることも分かった。
 マウス実験では、このワクチンを投与したマウスから、「抗Aβペプチド抗体」が、投与していないマウスの約百倍も検出された。  人間の白血球を使った実験でも、免疫の活性化を示すリンパ球の増加が確認された。
 アメリカでも抗体反応を使ったワクチンは開発されたが、正常な脳細胞の一部まで破壊し、副作用があるなどの問題点が指摘されている。

◆◆◆インフルエンザやBSE・・・平成18年2月22日付け産経新聞
◆検査時間大幅短縮へ
 インフルエンザやBSE(牛海綿状脳症、狂牛病)など、抗原抗体(免疫)反応を利用した検査を改良し、所要時間を従来の十分の一以下に短縮することに岡山大工学部の研究グループが成功し二十一日、発表した。実験では従来、約六時間かかったインシュリンの検査を三十分に短縮できたという。
 新たな分析法に成功したのは岡山大工学部の中西一弘教授と日本学術振興会の熊田陽一博士研究員。体内にウイルスなど抗原が侵入した場合、タンパク質で抗体が作られ、抗原と結合・排除する。この反応を利用した検査「免疫測定(イムノアッセイ)法」は、感染症診断のほか、残留農薬検査などさまざまな分野で利用されている。
 免疫測定法ではこれまで、タンパク質を付着させやすい疎水性のプラスチックプレートに抗体を固定。このプレートを入れた容器に、血液などの検体を注ぎ込み、抗体との反応を調べていた。
 しかし、検体以外のタンパク質がプレートに付着するのを防止する洗浄作業などで、検査は数時間から一日以上かかっていた。
 中西教授らは、プレートと検査抗体の間に<のりしろ>の役目をする特別なペプチド(タンパク質化合物)を入れることを考案。この結果、洗浄作業などが不要で、抗体の構造変化も少なくなり、検査感度の信頼性も高くしたという。
 中西教授は「インフルエンザやプリオンの迅速な検査にも応用が見込まれる。理論的には、どのような抗体でも三十分で検査できる」と話した。

◆◆◆大腸菌の全遺伝子機能個別に調べる「セット」・・・平成18年2月22日付け産経新聞
◆奈良先端科技大など構築
 奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科生体情報学講座(森浩禎教授)と慶応大学先端生命科学研究所などの研究グループは、大腸菌の遺伝子として働くと予測される約4300種類の遺伝子について、それぞれの機能を働かないようにした株を個別に作ってそろえた「遺伝子欠失株セット」を世界に先駆けて構築した。
 特定の遺伝子の欠失株と正常の個体を比べれば、その遺伝子にどのような機能があるかがわかる。大腸菌は生命の基礎研究や、医薬品など有用物質の生産に不可欠な生物になっているだけに、研究や生産の現場で活用されそうだ。
 細菌である大腸菌は、そのゲノム(遺伝情報)がさまざまな生物の基本形とされている。1997年に、日米の研究陣が全ゲノムについて遺伝子の機能をあらわすDNAの塩基の並び順を解読したが、続くポストゲノム時代に入り、遺伝子の機能の解明に焦点が移っている。しかし、有効な手段である特定の遺伝子を壊す欠失株を作製するのは困難だった。
 今回の「遺伝子欠失株セット」は大腸菌の遺伝子として働くと予測される全領域について、未知の機能などを詳しく調べられる図書館のようなシステムという。

◆◆◆がん ハイテク検診 全国に拠点病院・・・平成17年11月3日付け産経新聞
◆早期発見へ精度50倍
 ハイテク医療機器を駆使し、昨年二月から実施されている国立がんセンター(東京・築地)の高精度がん検診が、通常の検診の50倍以上、5%を超える発見率を上げていることが二日、明らかになった。死因トップのがんを克服するには、早期発見はどうしても欠かせない。厚生労働省はがんセンターの検診をモデルにした拠点病院を各道府県に整備し、がん撲滅と医療費削減を目指す。
 高精度がん検診は、がんセンター開設の「がん予防・検診研究センター」で行われている。
 研究センターによると、昨年二月から今年一月までの一年間に、四十歳以上の三千七百九十二人を対象に高精度がん検診を実施。その結果、通常の検診の五十倍以上、5.04%に当たる百九十一人からがんを発見。内訳は、大腸がん四十六人△胃がん三十五人△肺がん三十一人△前立腺がん二十四人など−だった。
高精度がん検診は、がん細胞が、ブドウ糖を大量に消費する性質を利用した「PET(陽電子放射断層撮影)」△エックス線を周囲から照射する「CT(コンピューター断層撮影法)」△電磁はエネルギーを使った「MRI(磁気共鳴画像装置)」△内視鏡−といった高度な医療技術を組み合わせ、肺、胃、大腸など全身の臓器をくまなく調べる点がポイントだ。
 たとえば肺がん検査の場合、通常の市町村はエックス線撮影を実施するのに対して、研究センターは身体を輪切りにして撮影するCT検査を実施。これにより肺の内部にできた微小ながんまで発見できるという。
 PET検査を組み合わせてほとんどの臓器と組織を検査する総合検診は、女性で二十二万五千七百五十円。男性だと十八万九千円。関係者によると現時点ではそれほど高額な検査費用ではないという。
胃がんの場合、これまでは外科による開腹手術が一般的だったが、早期(二a程度)に発見できれば、内視鏡を使う粘膜切除で治療でき、患者の負担も軽くなる。
 研究センターの森山紀之センター長は「高い発見率に驚いている。さらに実績を重ね、早期発見と早期治療に効果のある検診技術を開発していきたい」と話している。
 また別の担当者は「百九十一人のがんを詳細に調べたところ、早期がんが九割を占めていた。全てに治療の余地があった」と話す。
 厚生労働省は「中央の国立がんセンターから地方のがん検診の拠点病院にこの検診技術が波及すれば、がん治療期間が短くなる。全国的に医療費が削減できる」と期待する。
◆禁煙、食生活 予防の第一歩
 がんによる死亡は年間、三十二万人で、全死亡者の30%にも上り、日本人の死因の一位を占める。とくに発ガン率、死亡率とも、男性が女性の二倍になっている。
 なぜ、男性にがんが多いのか? 医療専門家は男性に多い喫煙を指摘し、「発がんの三分の二はタバコと食生活が原因。予防はまず禁煙が第一だ」と強調する。
 近年、胃がんが減少し、肺がん、大腸がんが急増している。大腸がんは、肉類が多く食物繊維の少ない食生活が原因とされる。治療は出血を早く見つけられれば、まず問題ない。検便による潜血反応検査と内視鏡検査を定期的に受けることが望ましい。乳がんも、マンモグラフィーと呼ばれる画像診断による早期発見と、その後の治療が注目されている。
 肺がんは治療が難しいが、禁煙で確実にそのリスクを減らせる。胃がんはヘリコバクター・ピロリ菌の持続感染が原因と分かってきた。慢性の胃潰瘍や胃炎の場合は、ピロリ菌の有無を調べて除去する必要がある。肝がんはC型やB型の肝炎ウイルスの感染から肝硬変を経て、発がんするケースが多い。定期健康診断でのウイルス検査は欠かせない。最近では遺伝子研究から発がん体質か何歳で何のがんになるかまで分かるようになってきた。
 医療技術の進歩で早期発見ができ、手術や抗がん剤、放射線の治療も進歩し、『不治の病』でなくなってきたがん−−。 だが、なんと言っても予防だ。バランスの取れた食事と適度な運動、それにストレスの軽減。心身の健康こそ、人が本来持つ免疫力を高め、発がんを食い止められる。

◆◆◆0.1_の乳がんも発見・・・平成17年10月10日付け産経新聞
◆X線撮影に新手法
 発見が難しい初期の微小な乳がん細胞(直径0.1_)でも鮮明に写し出せるエックス線撮影の新手法を、高エネルギー加速器研究機構(茨城県つくば市)と神戸大が九日までに共同開発した。
 同機構の放射光施設や大型放射光施設スプリング8(兵庫県佐用町)で作ったエックス線を利用する。装置の小型化が課題だが、臨床試験を経て実用化できれば、乳がんの効果的な検診方法になる可能性がある。
 厚生労働省によると、国内で平成十六年度に乳がんで死亡した女性は約一万人で、増加傾向にある。
 同機構の安藤正海教授によると、撮影対象の背後にフィルターのような働きをするシリコンの特殊な板を置き、直進性が高く拡散しにくいエックス線を照射。対象物を透過する際に屈折したエックス線だけを分離、画像にする。
 がん細胞に含まれるカルシウムはエックス線を屈折させやすいため、がん細胞だけを鮮明に写し出せるという。
 安藤教授らは、乳がん細胞がカルシウムを多く含むことに着目し、乳頭がんなどの病理標本を撮影した結果、直径約0.1_のがん細胞が、はっきりとらえられた。厚生労働省は「乳房エックス線撮影装置(マンモグラフィー)では直径石灰化した細胞が写るが、(検査に)慣れた人が見ないと判別しにくい」としている。

◆◆◆動脈硬化の原因、免疫タンパク質?・・・平成17年9月24日付け産経新聞
◆治療薬開発に期待
 心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす動脈硬化の患部に、肝臓で作られる免疫系タンパク質が蓄積することを、筑波大学など日米の研究グループが突き止めた。米医学専門誌(二十二日発行)に論文を発表した。研究チームは、このタンパク質をターゲットにした動脈硬化の予防法や治療薬の開発につながる可能性があるとしている。
 動脈硬化は血管壁に脂肪がたまって血管壁が狭くなったり、柔軟性が失われて起きる血管疾患で、患者の血液は、細菌感染時などに増える免疫タンパク質「C反応性タンパク質」(CRP)の濃度が高いことが知られている。しかし、一九八五年、に「患部にはCRPは存在しない」との研究結果が発表され、動脈硬化の発症とCRPの関係はなぞとされてきた。
 筑波大の範江林・人間総合科学研究科助教授らのグループは、動脈硬化を起こしたヒトとウサギの血管組織にCRPが沈着していることを突き止め、二十年前の研究結果を覆した。
 また、CRPが肝臓で作られ、血管の患部に運ばれていることもウサギを使った実験で確認した。
 動脈硬化の患者の約二割は喫煙や高脂血症など既知の危険因子を持たないことが分かっており、今回の成果で、CRPが新たな危険因子の候補として注目される。
 範助教授は、「今後は血中CRP値を下げると動脈硬化が抑制できるか、動物実験で明らかにしたい。CRPが危険因子であれば、肝臓でCRPを作るのをブロックする治療薬の開発が効果的だ」と話している。

◆◆◆インフルエンザ感染させない・・・平成17年9月19日付け産経新聞
◆ ウイルス撃退の抗体酵素作る
 インフルエンザウイルスを狙い撃ちして無力化させる「抗体酵素」を、県立広島大学生命環境学部(広島県庄原市)の宇田泰三教授(生物工学)のグループが十八日までに発見、人工的に作り出すことに成功した。世界初の成功例という。今後、抗体酵素を使った治療薬の開発をはじめ、エアコンなどを使って空気中のインフルエンザウイルスを撃退することも期待できるという。この成果は、十二月に米ホノルル市で開かれるパンパシフィック化学国際会議で発表される。
 インフルエンザウイルスは、ウイルス表面にある「HA(ヘマグルチン)」というタンパク質によって人細胞に結合し、感染する。増殖には別のタンパク質「NA(ノイラミンダーゼ)」の働きも得て、一日で百万倍にも増える。
 このHAはタンパク質の性質を決めるアミノ酸配列を自ら頻繁に変化させるため、毎年、新しいタイプのインフルエンザウイルスが生まれ、流行して来た。
 宇田教授らは、多数の死者を出したスペイン風邪などのウイルスが、多様に変化するHAの中に変化しない特定のアミノ酸配列を持つことに着目。その配列を破壊すればウイルスそのものを無力化できると考えた。
 そこで、変化しないアミノ酸配列をもつ化学物質をマウスに注射。これに対してできた六種類の抗体を脾臓から抽出したところ、このうち二種類の抗体がタンパク質を分解する酵素の働きも兼ね備えた「抗体酵素」であることを突き止めた。
 実験では、五十万分の一cの抗体酵素を一tのインフルエンザウイルスに混ぜたところ、十時間で数億個のウイルスのHAを無力化し、結合機能を失わせた。
 今回作り出した抗体酵素は、過去に大流行したスペイン風邪とソ連A型(これら同種)、アジア風邪の二種類のインフルエンザウイルスに有効である(無力化できる)ことが確認されている。
 現在のインフルエンザ治療薬には、NAを化学物質で撃退するものはあり、感染拡大は防げるものの感染そのものを防ぐことはできない。このため、感染とその拡大の双方に効く特効薬が切望されていた。宇田教授らは全てのインフルエンザウイルスに効果のある抗体酵素の研究にも着手している。
 宇田教授は「この秋から始めるヒト細胞を使った感染実験でも効果を確認できれば、インフルエンザの中で危険とされるタイプのうち、かなりのウイルス感染を防ぐことができる」としている。

◆ 自己免疫疾患の抗体酵素を発見したモスクワ大学のアレキサンダー・ガビボフ教授(生化学)の話
 「今回の発見は、インフルエンザ免疫治療薬の開発に画期的な前進を実現した。人体への実験でも副作用などがなければ、(エアコンなどを使ってウイルスを無力化する)インフルエンザセンサーの応用にも重要な物質となる。この研究成果は二一世紀の病理学に新時代を切り開いたといえるかもしれない」

◆ 抗体酵素
 病原菌などの特定タンパク質を見分けて結合する「抗体」と、特定タンパク質を分解する「酵素」の働きの双方を併せ持つ。従来、抗体と酵素は常に異なるタンパク質からできていて、独立して存在すると考えられていたが、その定説を覆し、抗体の構造中に酵素機能が存在することが突き止められた。これまでに、ぜんそくなど自己免疫疾患患者から天然の抗体酵素が発見されている。

◆◆◆頭が良くなる仕組み解明・・・平成17年9月15日付け産経新聞
◆アルツハイマー病などの治療法開発に期待
 学習するときや睡眠中に出るシータ波と言う脳波が、記憶を担う海馬の神経細胞(ニューロン)新生を促進していることを、久恒辰博・東京大助教授(脳科学)らが突き止め、十五日付の米科学誌ニューロンに発表した。
 「学んで頭をよく使うと学習能力が高まる理由の一つ」(同助教授)で、シータ波が海馬に伝わると、神経細胞が神経伝達物質ガンマアミノラクサン(GABA)を出し、それが神経細胞のもととなる前駆細胞を刺激、神経細胞ができるーーーという仕組み。
 年をとっても海馬では神経細胞が生み出され続け、記憶を形成する働きをしているが、海馬の活動が高まると神経細胞が増えるメカニズムは分かっていなかった。久恒助教授らは、迷路を用いた空間学習の刺激と同程度になるよう、人工的なシータ波でマウスの脳を二秒間刺激。神経細胞から興奮を鎮めるとされるGABAが分泌され、前駆細胞を神経細胞に変える反応が起きていた。
 さらに、GABAが分泌されたのと同じ作用を起こす薬剤をマウスに注射。一ヵ月後に調べたところ、海馬で一日につくられる神経細胞は四百五十個以上と、通常の1.5倍も多かった。
 同助教授は、「うつ病などの神経疾患患者では、脳内のGABA濃度が低いことが知られている。アルツハイマー病や脳血管障害による老人性認知症の治療法開発にもつながるのではないか」としている。

◆◆◆ES細胞 長期培養で異常・・・平成17年9月5日付け産経新聞
◆国際チーム、米誌に発表
 身体のさまざまな細胞に分化する能力があり、ほぼ無限に増殖するヒトの胚性幹細胞(ES細胞)が、受精卵から作成して 一〜三年間培養を続けると、染色体の本数や遺伝子制御部分などにがん細胞に似た異常が表れることが分かった。 米ジョンズ・ホプキンズ大などの国際研究チームが五日、米科学誌ネイチャー・ジェネティクスの電子版に発表する。
 ES細胞は、糖尿病患者の膵臓やパーキンソン病患者の脳などに移植し機能を再生する医療の実現が期待されている。
 生体移植後、がん化する危険性は従来も指摘されていたが、長期培養で各種の異常が表れることが、  複数の研究機関の細胞株で明らかになったのは初めて。

◆◆◆HIVに感染しない人 染色体に共通の特徴・・・平成17年7月4日付け産経新聞
◆近大教授ら発見
 エイズウイルス(HIV)感染者と性交渉があっても感染しない人は、DNAの特定領域に共通の特徴を持つことを 宮沢正顕近畿大教授(免疫学)とイタリアのミラノ大の研究グループが四日までに発見、英専門誌エイズに発表した。 エイズ予防や治療につながる可能性があるという。
 宮沢教授らは、イタリアでHIV感染者のパートナーと四年以上性交渉がありながら感染していない四十二人のDNAを解析。 二十二番染色体に特徴的な並び方の塩基配列があるのを発見した。 また、イタリアでは十数パーセントの人がこの特徴を持つことが分かった。
 染色体のこの領域には免疫細胞の働きを調節する遺伝子が複数あり、HIVに感染しない人の場合には、 免疫を活発化するタンパク質が普通の人よりも多く出されているのを確認した。
 宮沢教授らは、ウイルスが侵入するとこれらの遺伝子に‐スイッチ‐を入れる別の遺伝子があるとみており、 「もしこれが見つかれば、効果的なワクチンや抗ウイルス薬の開発につながる」と話している。

◆◆◆がん治療がビタミンで楽に・・・平成17年5月25日付け産経新聞
◆患者の副作用改善
 吐き気や下痢といった抗がん剤と放射線治療の副作用の抑制にビタミン剤が有効。 京都大の鍵谷勤名誉教授(石油化学)と京都府立医大が実施した臨床治験で、こんな結果が実証された。がん患者に負担をかけずに、 薬剤投与量と照射線量を増やすことができるとして、今後さらに治験を重ねる方針。 成果は三重県桑名市で二十八、二十九の両日に開かれる研究会で症例報告される。
 鍵谷名誉教授によると、臨床治験は副作用を訴えた抗がん剤と放射線治療の患者三人ずつ計六人を対象に実施。 治療前や治療後にビタミンCやEを配合した薬を服用したところ、いずれも副作用症状が改善された。
月三回の抗がん剤治療で吐き気や不眠、食欲不振を訴えていた乳がん再発患者(56)は、 ビタミンEを配合した薬剤五十ミリグラムを服用したところ副作用は起きず、6ヵ月間の治療で抑制効果を確認できた。
 乳がんが腰椎に転移した患者(65)も、約一分間の放射線治療で下痢に悩んでいたが、ビタミンCを配合した薬剤十グラムを服用したところ、 計十回の治療で一度も下痢は起きなかったという。
 鍵谷名誉教授は「激しい吐き気や下痢に苦しむ多くの患者に勇気を与える治験で、社会的影響は大きい」と話している。

◆◆◆「腎炎」影響のタンパク質 京大教授ら特定に成功・・・平成17年5月17日付け産経新聞
◆新医薬開発に期待
 腎機能不全症の原因となる腎炎の発症や進行に関係するタンパク質の特定に、京都大大学院薬学研究科の辻本蒙三教授(ゲノム科学) らの研究グループが成功し、十六日付の米国科学アカデミー紀要オンライン版に発表した。腎炎の進行を抑える新医薬の開発や、 患者個人の体質や病態に合わせた治療法の確立が期待される。
 特定したタンパク質は「蛋白質リン酸化酵素カゼインキナーゼ2(CK2)」。遺伝子診断用のDNAチップを使ったマウス実験で、 正常な腎臓と病理状態の腎臓の変化を比べ、腎炎病状と関係が深い「治療標的分子」であることを突き止めた。
実験用マウスにCK2の生成を阻害する遺伝子治療を施したり、化合物を投与したところ、ステロイド投与など従来の治療法に比べて、 腎炎症状を劇的に抑えることができた。
 辻本教授は「薬が作用する標的分子を特定したことで、従来の治療より効果的で副作用が少ない薬の開発が可能になる。 腎疾患の根本的な治療法確立に加速がつくだろう」と話している。
 国内の腎疾患患者は約五十万人で、毎年約三万四千人が人口透析治療を新たに導入している。 腎疾患の大半を占める糖尿病性腎症などに対する早期治療が求められている。

◆◆◆貴金属入りゴム がん細胞を抑制・・・平成17年5月14日付け産経新聞
◆アメリカ学会、承認見通し
 ウエットスーツ用ゴム素材で世界首位の山本化学工業(大阪市生野区、山本富造社長)が開発し特許を持つ、貴金属入りの複合ゴム「バイオラバー」に、 人のがん細胞の成長を抑える遺伝子を活性化させる効果があることを、アメリカの臨床腫瘍学会(ASCO)が承認する見通しであることが、 十三日分かった。
 バイオラバーはゴムに金や白金を混入。遠赤外線を発し、人の細胞の活動を活性化させるという。
 兵庫医科大の島博基教授(泌尿器科)が行った実験では、がん細胞を入れたフラスコの上下をバイオラバーで覆ったところ、 三週間後に一部のがん細胞の遺伝子構造が正常な形に変化したことが検証された。こうした結果を記した論文を、 がん治療の権威といわれる同学会に提出している。
 島教授によると、バイオラバーは皮膚に当てるだけで効果があるため、抗がん剤を併用しても問題がなく、投与量は従来の三分の一程度になるという。 島教授は「世界初の新たながん治療・予防法が提案できた」と期待する。
 山本化学工業の山本社長は「関西から世界へがん治療に関する朗報を発信したい」と話しており、同社が医療器具事業へ本格進出する足がかりとする考えだ。

◆◆◆インフルエンザ脳症重症化・・・平成17年3月22日付け産経新聞
◆徳島大教授ら特定の遺伝子異常確認
 インフルエンザに感染した子供の一部がかかり、死亡する場合もあるインフルエンザ脳症について、重症になった患者では特定の遺伝子で二ヵ所、 塩基が変異していることを徳島大の木戸博教授(病態分子生物学)らが二十二日までに突き止めた。
 インフルエンザ脳症は多い年には二百人以上の患者が発生。死亡率は約15%と高いが、遺伝子にこうした特徴がある人は重症化しやすい可能性がある。 事前の診断で把握すれば重症化を防げるのではないかと期待されている。
 木戸教授らは、インフルエンザ脳症の患者の血液中に、大量の脂肪が含まれていることに注目。患者三十四人から血液の提供を受け、 脂肪をエネルギーに変換する酵素の遺伝子を解析した。
 三十四人のうち重症は七人で、うち六人は遺伝子の二箇所で塩基が変異していた。重症でない二十七人は、少なくとも一方で変異がなかった。 重傷の残り一人は別の酵素で遺伝子変異があった。
 二ヵ所の塩基に変異がある遺伝子をハムスターの卵巣細胞に入れた実験で、体温が高いと酵素の働きが悪くなることを確かめた。 インフルエンザで発熱すると体脂肪が変換されずにエネルギー不足になり、特に脳に影響しインフルエンザ脳症が重症化するらしい。
 木戸教授は「重症患者と同じ特徴を持つ可能性がある兄弟の遺伝子を調べ、変異があれば感染しないようにワクチンを接種し、 感染した場合は熱を下げて充分に栄養を取るなどの対処が可能だ。」と話している。

◆◆◆骨形成妨げる物質発見 東京医科歯科大グループ・・・平成17年3月22日付け産経新聞
◆骨粗しょう症治療に光
 骨をつくる細胞の中に骨の形成を妨げる物質があることを、野田政樹・東京医科歯科大教授(分子薬理学)らのグループがマウスを使った実験で突き止め、 二十一日発行の米実験医学誌に発表した。この物質の働きを抑制できるようになれば、骨粗しょう症の新しい治療法の開発も可能になると期待される。
この物質は、共同研究者だった故平井久丸・東京大教授(血液学)が発見した、骨芽細胞中にあるタンパク質「CIZ」。
 野田教授らはこのCIZを合成できないマウスを正常なマウスと比較したところ、正常なマウスは生後八週をピークに徐々に骨の量が減るが、 CIZのないマウスは八週を過ぎても骨量があまり減らず、正常なマウスよりも骨量が約30%も多くなった。
 骨粗しょう症は急速な骨の破壊が主な原因と考えられており、治療法も骨破壊の抑制が中心。野田教授は「従来の治療薬では効果が不十分な骨粗しょう症患者も多い。 CIZの阻害物質が見つかれば画期的な治療薬となる可能性がある」と話している。

◆◆◆アルツハイマー病 早期発見・・・平成17年3月14日付け産経新聞
◆MRI検知可能な化合物開発
 脳に蓄積しアルツハイマー病を引き起こすアミロイドという物質に結合する化合物を理化学研究所脳科学総合研究センター(埼玉県和光市) と同仁化学研究所(熊本県益城町)のチームが開発、13日付の米科学誌「ネイチャーニューロサイエンス」電子版に発表した。
 化合物が結合したアミロイドは磁気共鳴画像装置(MRI)で簡単に識別できるため、現在の技術では難しい発症前の診断が可能になるという。
 開発したのはアミロイドに結合しやすいスチリルベンゼンに、MRIで検知しやすいフッ素を結合させた化合物で、FSBと名付けた。
 アミロイドはタンパク質の構造が壊れ、凝集した繊維状物質。アミロイドが脳に蓄積するマウスを遺伝子操作で作り、微量のFSBを静脈注射すると、 脳内でアミロイドが集まった部分をMRI画像上で識別できることが分かった。
 アミロイドがたまると、大脳に染みのような老人班ができる。アルツハイマー病の症状が出るのは老人班が脳の断面画像の10%〜30%になった段階。 マウスでは老人班が2%程度を占めた段階で、MRIで検知できた。
 理研の西道隆臣チームリーダーは「早期に蓄積が分かれば神経細胞が損傷する前に、開発が進んでいる薬でアミロイドを減らすことが期待できる。患者数を十分の一にできるのではないか」とはなしている。

◆◆◆阪大グループ「Izumo」と命名(受精に不可欠なタンパク質)・・・平成17年3月10日付け産経新聞
◆避妊法への効果期待
 人間の精子の中にある特定のタンパク質を抑えると精子と卵子が結合できなくなることを、大阪大学遺伝情報実験センターの 岡部勝教授(生殖生理学)らの研究グループが突き止め、縁結びの神様の出雲大社にちなんで「Izumo」と命名した。 新たな避妊法や不妊治療につながる可能性があるという。
 Izumoは人間をはじめとする哺乳類の精子の先端部分に存在。グループはまず、Izumoを持たないマウスを遺伝子操作で作り、 受精実験をしたところ、精子は卵子の表面の保護層を通過して卵子の表面までは到達したが、最終段階で精子と卵子が一体化する「融合」が起こらず、不妊となった。
 次に、同大微生物研究所倫理委員会の承認を得て、異種の動物の精子と結合する能力を持つハムスターの卵子に、人間の精子を受精させる実験を行った。 この場合も、Izumoの働きを抑える抗体を入れると、精子と卵子が融合しないことが確認された。
 「融合」は精子と卵子が結合する受精の重要なステップだが、これまでその分子生物学的な仕組みはほとんど分かっていなかった。
岡部教授は「今回の発見で融合メカニズムの解析に新たな幕が開くのではないか」と説明。「女性の体内に抗体を作ってIzumoの働きを抑える  『避妊ワクチン』ができれば、一回の注射で避妊効果が一年ぐらい続くかもしれない」と話している。

◆◆◆高確率で「大脳前駆細胞」分化・・・平成17年2月7日付け産経新聞
◆パーキンソン病治療に光・・・神戸の研究所マウスで成功
 体の様々な細胞に成長する性質を持つ「胚性幹細胞(ES細胞)」から、大脳のもとになる「大脳前駆細胞」を高確率で作り出すことに、 独立行政法人「理化学研究所神戸研究所」(神戸市)の研究グループが世界で初めてマウスで成功した。 米科学誌「ネイチャーニューロサイエンス」の電子版に七日から掲載された。
 グループの笹井芳樹ディレクターは「パーキンソン病やアルツハイマー病といった大脳に関係する病気の発生メカニズム解明や治療薬開発、 大脳神経の移植治療確立などにつながる」としており、今後、ヒトES細胞を使った実験を始める。
 ES細胞は精子と卵子の受精後数日内に胚から採りだした細胞で、自己増殖と特定の機能を持つ細胞に分化する能力を併せ持つ。 将来の再生医療の素材として注目を集めている。
 研究グループは、マウスのES細胞にある特定のタンパク質の活性を阻害することで、大脳のもとになる前駆細胞に高確率で分化させることに成功した。

◆◆◆血圧に関係する酵素「ACE」受精のカギも握る・・・平成17年1月24日付け産経新聞
◆阪大教授らグループ
 血圧の上昇に関係があるとして知られる酵素「アンジオテンシン変換酵素(ACE)」が、受精時に重要な働きをしていることを、 大阪大先端化学イノベーションセンターの竹田潤二教授らのグループが発見。24日付の米・医学誌「ネーチャー・メディスン」電子版に発表した。
 研究グループは、ACEを持たないマウスで体外受精を行った結果、オスのマウスにACEが欠けていると受精できず、ACEを投与すると受精することを確認した。
 ACEは精子の表面についている「ZPIアンカー型タンパク質」と呼ばれる種類のタンパク質を切り離す働きをしており、それによって精子は初めて卵と結合できるようになるという。
 中心となって研究を進めた近藤玄・京大助教授は「受精の際にACEの働きを抑える薬を開発すれば、男性用避妊薬として使える可能性がある。 また、BSE(牛海綿状脳症、狂牛病)の原因となる異常プリオンもGPIアンカー型タンパク質の一種であり、これらの病気の解明に役立つかもしれない」と話している。

◆◆◆イレッサは有効か・・・平成17年1月20日付け産経新聞
◆厚労省が検討会 「延命効果なし」報告受け
 肺ガン治療薬イレッサ(一般名ゲフィチニブ)の延命効果が、日本を含まない二十八カ国での大規模臨床試験で確認できなかったと報告されたのを受け、 厚生労働省は二十日、解析結果や対応を審議する検討会の初会合を開いた。
 イレッサを輸入販売するアストラゼネカ(大阪市)は昨年十二月、イレッサを服用した患者と偽薬をのんだ患者とで、生存期間にはっきりした差は出なかったとする初回の解析結果を発表した。 東洋人を対象にした解析では生存期間の改善が示唆されたという。
医学や薬学の専門家らで構成する検討会では、安全性や有効性の観点から結果を検討するとともに、解析対象に日本が含まれていないことなどを踏まえ、  注意を呼びかける情報提供などの措置が必要かどうかを検討。最終的な解析結果は今年上半期に発表される予定で、検討会は今後も結果報告に応じて開催する。
イレッサは平成十四年七月、世界に先駆けて日本で輸入承認された。世界での使用患者は推定約二十一万人、日本では同約八万五千人。

◆◆◆パーキンソン病 ES細胞移植サルの症状改善・・・平成17年1月4日付け産経新聞
◆京大グループ 霊長類で初の成果
 パーキンソン病のサルの脳に移植した胚性幹細胞(ES細胞)からドーパミンを分泌させ、症状を改善させることに、 京都大大学院医学研究科の橋本信夫教授(脳病態生理学)らのグループが成功し、四日付けの米国科学誌「ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション」  オンライン版に発表した。ヒトのES細胞とほぼ同じ特徴を持つ霊長類での症状改善は世界初という。
パーキンソン病は中脳の神経細胞が脱落し、神経伝達物質のドーパミンが減少して手足の震えや歩行困難などが徐々に進行する。患者は50歳代から60歳代が多く、 国内の患者は約12万人に上ると推定される。
 研究グループはカニクイザルの受精卵からES細胞をつくり、ドーパミンを出す細胞になる神経幹細胞に分化。 薬を使って人のパーキンソン病と同じ症状を示すようにしたカニクイザルの脳に移植した。
その結果、震えがとまらないなどの症状が表れていたカニクイザルは、移植約三ヵ月後から落ち着きを取り戻すなど神経症状の改善が見られ、 副作用の腫瘍形成や不随意運動は見られなかった。
 研究グループによると、移植したES細胞が機能する生着率は、40万個のうち8千個で約2%。 海外のパーキンソン病治療法として普及している死亡胎児からの体制幹細胞移植とほぼ同じ効用が証明された。
 橋本教授は「今回は短期の経過観察に過ぎず、今後は一年以上の期間で移植の効果が代わらないかを確認する必要がある。 安全性を厳密に確かめ、5年以内にヒトES細胞を用いた臨床応用につなげたい」と話している。
 「有効性を確認」
神経系の発生、再生に詳しい岡野栄之慶応大教授(生理学)の話
「マウスでは成功例があるが、ヒトと同じ霊長類のサルで成功したことは、胚性幹細胞(ES細胞)の有効性を示しており、高く評価できる。 ヒトES細胞を動物に移植して効果を確かめる研究は、世界でもまだ、どこもうまくいっていない。腫瘍ができないようにする、問題の解決が大切だろう」
ES細胞
胚(はい)性幹細胞の略称。胎児になる前の受精卵(胚)の内部細胞塊を培養してつくる特殊な細胞で、臓器や神経などあらゆる組織に変化できるため「万能細胞」とも呼ばれる。 再生医学の柱として期待される一方、受精卵を壊して取り出されることから倫理面での問題が指摘されている。

◆◆◆タンパク質3種類 染色体の組み換え制御・・・平成16年12月29日付け産経新聞
◆阪大グループ 遺伝子治療など期待
 親の遺伝情報を子供に伝えるために必要な染色体の組み換えを制御しているのは、タンパク質三種類のセットであることを、 大阪大タンパク質研究所の篠原彰教授(分子生物学)らのグループが発見し、米科学誌「セル」に二十九日、発表した。 赴任の原因解明や遺伝子治療に役立つと期待されている。
 精子と卵子は受精後、父親と母親からの染色体が混ぜ合わさり、新たな染色体に組み換わる。この組み換えにより、 両親の遺伝情報を受け継ぎながらも、親とは異なる性質を持つ子供が生まれる。
 しかし、同じ親由来の染色体同士で組み換えが起こったり、うまく組み換えが起こらずに染色体の数が変化することもあり、 組み換えの仕組みの解明が待たれていた。
 篠原教授らは、パン酵母を用いて実験。組み換えを制御しているのはすでに関与が判明していた一種類と新たに分かった 二種類の計三種類のタンパク質のセットであることを突き止めた。
 どの一種類がかけても染色体同士は接触せず、正常な組み換えはおきなかった。
 篠原教授は「これらのタンパク質の作用を利用すれば、効率よく遺伝子や染色体の改変が行えるようになる。 将来的には不妊症の原因特定や男性用避妊薬の開発なども期待できる」と話している。

◆◆◆ES細胞と同機能の細胞 精巣から分裂形成に成功・・・平成16年12月29日付け産経新聞
◆京大大学院グループ 再生医療に新たな道
 さまざまな臓器や組織の細胞に変化する能力がある胚性幹細胞(ES細胞)と同様の機能を持つ多能性幹細胞を 、マウスの精巣から作り出すことに京都大大学院医学研究科の篠原隆司教授(生殖生物学)らの研究グループが成功。 二十九日の米科学誌「セル」に発表した。
 倫理的に慎重な取り扱いが求められるES細胞に代わり、新しい再生医療の研究対象として注目が集まりそうだ。
 篠原教授らの研究グループは、新生児マウスの精巣細胞を用いて精子幹細胞を試験管内で培養していた際、 ES細胞と似た形態の細胞が形成されたのを発見。研究を進めた結果、新種の幹細胞は約20%の確立で形成され、 ES細胞とほぼ同様の性質を持っていることが分かった。
 新たな幹細胞は、細胞分裂が始まって数日後の受精卵を壊して取り出されるES細胞に比べ、 生後の生殖細胞から作られるため、再生医療にかかわる倫理的問題点は比較的少ないという。生殖に関係する系列の細胞は、 多様な細胞に変わる能力があるが、生まれた後の個体の生殖細胞では、こうした能力はないのではないかとみられていた。
 篠原教授は「成長したマウスの精巣からでも同様にできるかといった課題は残るが、今後の再生医療の研究に役立つのではないか」と話している。

◆◆◆血液一滴 ガン早期発見・・・平成16年12月24日付け産経新聞
◆岡山大 新検査システム開発
 白血病などの血液ガンの細胞に特有の遺伝子の修飾異常を目印に、微量の血液でガンの有無を検査する方法を、岡剛史岡山大助手(病理病態学) と大内田守同大助教授(分子遺伝学)らが二十三日までに開発、血液がん患者を対象に診断に使う臨床試験を始めた。 実用化できれば早期発見や治療効果の判定などに役立つと期待される。
 岡助手らは血液ガンの一種、悪性リンパ腫の発症のメカニズムを調べる中で、特定の遺伝子の発現が抑えられていることを発見。この遺伝子はDNAの配列の一部にメチル基という分子がくっついて化学修飾され、正常に働かなくなっていた。
 この遺伝子修飾を検査に利用しようと、数万個の正常細胞の中にガン細胞が一個あれば分かる感度を備えた検査システムを開発した。一般的な遺伝子解析装置で分析でき、必要な血液は一滴以下。翌日には検査結果が判明するという。
 ほとんどの血液ガンで同様の以上があり、この検査システムでは、血液ガンの種類によってがん細胞を82-100%検出できるという。病気が治った患者は異常がなくなっていた。
 岡助手は「患者の肉体的負担が少なく、迅速で正確な遺伝子診断ができるようにしたい」と話している。

◆◆◆肺ガン治療薬イレッサ・・・平成16年12月24日付け産経新聞
◆延命効果みられず
 肺ガン治療薬イレッサ(一般名ゲフィチニブ)の比較臨床試験を日本を含まない二十八カ国で実施したところ、イレッサを服用した患者と偽薬をのんだ患者で生存期間にはっきりした差はなかったとする解析結果を、輸入販売元のアストラゼネカ(大阪市)が二十三日までにまとめた。
 ガンの縮小についてはイレッサ服用患者で改善が見られたという。最終的な結果は来年上半期に発表する。
 試験はロンドンのアストラゼネカが昨年七月から今年八月にかけ、二百十施設で実施。化学療法が効かない非小細胞肺ガン患者を対象に、約千百三十人にイレッサ、約五百六十人に偽薬を投与し、生存期間を比べた。
 イレッサ服用者は五・六ヵ月、偽薬では五・一ヶ月で、統計的に延命効果は見られなかった。
 ただ、マレーシア、タイなどの東洋人約三百七十人の成績は、イレッサ服用者九・五ヵ月、偽薬五・五ヵ月、と生存期間の改善が示唆された。喫煙歴のない患者でも延命効果が示唆されたという。
 同社は、厚生労働省に結果を報告して、医療機関への情報提供を始めた。

◆◆◆FDAが警告…鎮痛薬で心機能障害の恐れ・・・平成16年12月21日付け読売新聞
 米食品医薬品局(FDA)は20日、ナプロキセンを成分とする鎮痛薬の服用によって心機能障害の危険が高まるとの警告を発した。  服用を続けている患者に対して、ラベルに表示されている使用上の注意を守り、医師の指導なしに10日以上飲み続けないよう求めている。
 ナプロキセンはアルツハイマー病の予防や治療に効果があるとする説があり、同病患者への臨床試験中にこの副作用の危険性が明らかになった。
 日本国内でも、数社がナプロキセンを含む薬剤を販売している。厚生労働省医薬食品局の森口裕・安全使用推進室長は「通常の鎮痛剤として服用する限り、副作用の心配はないと思われるが、取り扱っている製薬会社からの報告を待ち、対応を考えたい」と話している。

安全性・コスト・倫理
◆◆◆再生医療 総合的に研究・・・平成16年12月12日付け産経新聞
◆来年度から厚生労働省
 病気やケガ、老化で働かなくなった組織を、特殊な細胞で治療する再生医療の普及を見据え、厚生労働省は複数の研究班を設置し、 安全性やコスト、倫理問題などの課題の総合的な研究を来年度から始める事を十一日までに決めた。
 さまざまな組織や臓器に分化する能力のある幹細胞などを用いる再生医療は「夢の医療」と期待され、一部は患者への応用が始まっている。
 だが既存の治療法との比較など、実用性を重視した幅広い評価は進んでおらず、同省臓器移植対策室は「再生医療が一般的な医療として定着するには、どんな問題があるのか明らかにしたい」としている。
 安全性の研究では、他人の細胞を移植する際のウイルス感染予防、免疫反応抑制のほか、細胞のガン化や、培養に使う動物の血液成分からの病原感染防止などに着目。
 医療経済の点からは、患者の生存率と再発率、コストが薬物療法など現行の治療法とどう違うのかを評価する手法の開発を進める。
他人の細胞利用や死者からの細胞採取の是非など、倫理問題にも取り組む。

◆◆◆ウイルス用い膵臓がん治療・・・平成16年11月27日付け産経新聞
◆名大病院が申請
名古屋大病院の中尾昭公教授は26日ヘルペスウイルスを使った膵臓がん治療の臨床試験を同大倫理委員会に申請したと発表した。 中尾教授はすでに乳がん治療にヘルペスウイルスを用いる臨床試験をしているが、膵臓がんに使うのは世界初という。倫理委は29日に審査する。
 利用するウイルスは名古屋大が発見した「HF10」。口唇ヘルペスを起こすウイルスが自然変異し、毒性が弱まった株で、副作用が少ないという。
 中尾教授が平成15年、同ウイルスを用いて行った乳がんでの臨床試験では、がん細胞が30ー100%消滅した。
 今回の臨床試験では患者6人を対象に、開腹した上でがん細胞に直接注射し、死滅させる。中尾教授は「膵臓がんは見つかっても手術が難しい。  治療効果だけでなく、患者の生活の向上も期待できる」と話している。

◆◆◆美白の新薬期待・・・平成16年11月15日付け産経新聞
◆メラニン運ぶ仕組み解明
日焼けやしみ、そばかすの原因となる黒い「メラニン色素」が、色素を生産する細胞から皮膚や髪の毛の細胞に運ばれる仕組みを解明したと、 理化学研究所の福田光則ユニットリーダーらが15日、英科学誌ネイチャー・セル・バイオロジーの電子版に発表した。
 この色素輸送に重要な役割を果たすタンパク質の働きを妨げる物質を見つければ、肌を「美白」に保つ新薬を開発できると期待される。
 福田リーダーらは、髪の毛が白くなる遺伝性疾患の原因タンパク質「Rab27A」に注目。メラニン色素はメラノサイト細胞で生産された後、 「メラノソーム」と呼ばれる細胞内の小袋に貯蔵されるが、Rab27Aと協力し、
  1. メラノソームを細胞膜近くまで運ぶタンパク質
  2. 細胞膜につなぎとめて皮膚や毛の細胞に受け渡しやすくするタンパク質
の二つのタンパク質をそれぞれ突き止めた。